モノ創りで国造りを

ハード/ソフト問わず知見をまとめてます

イノベーションを産む覚悟

tech.nikkeibp.co.jp この記事を読んで、言わずにいられなくなったので記載。

シェアカメラのアイデア

富士フイルムという会社に在籍していた時のこと。
2014~2015年頃に新たなイノベーションを生み出そうという会社の方針があり、
全社員がアイデアを出すプロジェクトがあった。
そこで私が提案したのが、シェアカメラである。

当時すでにキャストなどのサービスがあり、皆がリアルタイムで動画を共有できていたのだが
活用事例が限定的で、画質の悪さもあり、利用している人は少なかった。

これを改善して、画像や動画に広告を載せれば商売になると考えた。
特にカメラは無料or格安で販売orリースし、広告費で儲ければよいと考えたのである。

・個人の場合は、ホームセキュリティや、住居によっては風光明媚な映像を提供できるし、
・団体の場合は、スポーツやコンサート会場にカメラを設置し、リアルタイムでその場の雰囲気を共有でき、その結果集客効果が生まれると考えていた。
加えて、撮った画像を気に入った場合に、写真を現像するところまで行えれば、富士フイルムにとってさらに美味しい結果になると考えた。 また、2020年の東京オリンピックに向けて、実現すれば商品と会社の大きなアピールになる、とも考えていた。

富士フイルムという会社

富士フイルムという会社は、高い技術力を有している。
先日、ホンダをやめたブログに書かれているような大企業像とは異なり、
社員が自ら手を動かし、日々技術を磨いている。
化学の会社ということもあり材料系の技術力に目がいきがちだが、
機電系も他社では実現できないレベルのものを開発している。

その一方で製品コンセプトは大変残念なことに、
常に他社の後追いをし、イノベーションは皆無である。
技術ではイノベーションを生み出せるレベルを有しているのに、企画でその可能性をつぶしている。

シェアカメラのアイデアはどうなった

話をシェアカメラに戻す。
会社に提案したシェアカメラのアイデアははどうなったか。
"広告ビジネスは収益性が悪いのでNG。"とのことだった。
では、どのようなアイデアが一次審査をパスしたか。
企業上の秘密かもしれないので具体例は伏せるが、
クラウドビジネスをやろう、とか
現在進行中のプロジェクトの改善、とか
イノベーションとは程遠い内容だった。 シェアカメラが売れるアイデアかどうかはやってみなければわからないが、
それでもこの結果から、残念な会社だなと再認識した。

イノベーションを産むためには

「我が人生に茨の道多し
 されど命の道は一つ
 この外に道はなし
 この道を行く」
モノではなくコトを売る時代と言われて久しい。
モノに満たされている時代に、我々が欲するのはモノではなくコト。
モノは永遠、コトは一瞬。一つのコトを味わうと、次のコトを求める。
他社の真似では、満たされない。他社の後追いでは、見向きもされない。
上の格言は武者小路実篤の言葉。
特に深意はないけれど、覚悟をもって進むべき道を進みたい。